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中山 梓介; 岩本 修; 木村 敦
EPJ Web of Conferences, 294, p.07001_1 - 07001_6, 2024/04
溶融塩炉などの革新型原子炉の減速材として黒鉛の利用が考えられている。減速材による熱中性子の散乱は炉心設計に大きな影響を与える。革新型原子炉の開発に貢献するため、原子炉級黒鉛の熱中性子散乱則の評価を行った。格子振動に起因する非弾性散乱成分は、第一原理シミュレーションから求めたフォノン状態密度に基づいて評価した。シミュレーションは理想的な結晶黒鉛に対して行った。結晶構造に起因する干渉性弾性散乱成分は、J-PARC/MLF施設で実施された中性子透過実験および散乱実験に基づいて評価した。中性子透過実験との比較においては、空孔などの結晶よりも大きな構造に起因する中性子小角散乱の定量が重要であることがわかった。以上の方法に基づいて、原子炉級黒鉛の熱中性子散乱則データを評価した。
多田 健一
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 8 Pages, 2023/10
熱中性子散乱則データのエネルギー点数は、連続エネルギーモンテカルロ計算コードの断面ファイルのデータサイズに大きく影響する。エネルギー点数の最適化は、断面ファイルのデータサイズを削減するための効果的な手法の一つである。本研究では、エネルギー点数の最適化のため、熱中性子散乱断面積の線形化機能を開発し、核データ処理コードFRENDYに実装した。線形化手法として、共鳴再構成とドップラー広がりで使用される線形化手法を用いた。エネルギー点数の違いが中性子輸送計算に与える影響を推測するため、ZrHを減速材として用いた臨界実験ベンチマークを計算した。計算結果から、熱中性子断面積の線形化が中性子輸送計算の計算精度が改善することが分かった。
川口 真穂*; 柴 茂樹*; 岩橋 大希*; 大川 剛*; 郡司 智; 井澤 一彦; 須山 賢也
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 8 Pages, 2023/10
原子力規制委員会は、2014年から日本原子力研究開発機構(JAEA)と共同で、福島第一原子力発電所事故で発生した燃料デブリの臨界性を評価するための実験的アプローチに取り組んでいる。その一環として、擬似燃料デブリの特性を評価する臨界実験を実施するため、原子力機構は臨界実験装置STACY(STAtic experiment Critical facilitY)を改良した。予備解析として、提案した炉心配置パターンについて、主要な核データライブラリを用いて臨界特性を検証した。3次元連続エネルギーモンテカルロ中性子・光子輸送コードSERPENT-V2.2.0と最新のJENDL-5を用いた。その結果、STACY更新炉の炉心配置パターン全てにおいてJENDL-5による中性子増倍率は、他のライブラリを使用した結果と比較して大きく評価された。また、JENDL-5のH散乱反応及びU核分裂反応断面積の感度係数は他のライブラリとは異なっていた。これらのライブラリとの比較から、JENDL-5の更新されたS(, )は、STACY更新炉の臨界特性の評価結果に影響を与える可能性があることがわかった。
亀田 恭男*; 佐々木 基弥*; 臼杵 毅*; 大友 季哉*; 伊藤 恵司*; 鈴谷 賢太郎; 福永 俊晴*
Journal of Neutron Research, 11(3), p.153 - 163, 2003/09
水HOのTOF中性子回折におけるH(軽水素)からの非弾性散乱の効果を、DO(重水)と混合することで干渉性散乱強度をゼロにして、構造と関係ない非干渉性(-非弾性)散乱のみを観察することで、直接調べた。
門谷 浩享*
JAERI-M 8927, 26 Pages, 1980/06
THRUSHは干渉性および非干渉性散乱について、フオノン展開の方法で熱中性子の散乱やカーネルを計算するコードである。重水の散乱カーネルの計算に適している。
飯泉 仁
Journal of the Physical Society of Japan, 35(1), p.204 - 212, 1973/01
被引用回数:3フッ化カルシウム(CaF)の111方向音響モードのフォノン幅を20~573Kの範囲で熱中性子散乱により測定した。分光器の条件を最適化し、得た結果を補正するため分解能関数の効果を注意して取扱った。それぞれのフォノン幅は温度と共に多様に変化するが、定性的には簡単な理論の結論により理解することができる。室温での幅は縦波が1.5~2mev、横波が約1mevで、これは他の物質での測定値とほぼ同程度である。それゆえ、この物質で見られる大きな非調和温度因子は個々のフォノン-フォノン相互作用の大きいことを必ずしも意味せず、むしろ積分量を求める際の結晶の対称性の効果によるものと考えられる。縦波音響モードのq=0.4q近傍で異常な形のピークが観測されたが、これはフォノンの自己エネルギーのエネルギー依存性を反映しているものと思われる。
飯泉 仁; 下司 和男; 原田 仁平*
J.Phys.,C, 6(21), p.3021 - 3023, 1973/00
チタン酸ストロンチウムの規準振動分散関係を中性子非弾性散乱法により測定し、Stirlingの最近の結果と比較した。2,3分枝について新しい測定結果を与えた。
シグマ研究専門委員会
JAERI 1095, 34 Pages, 1965/12
化学結合を考慮した熱中性子散乱断面積を解析するために種々の理論模型が作られてきている。委員会熱中性子グループはこれら模型による計算コードとして自由ガス模型に対してはFREEコード,分子状減速材特に軽水分子に対するNelkin模型には、NELKERコード,等方結晶状及び分子状減速材に対するEgelstaff-Schofield模型にはE.Sコード,黒鉛等非等方結晶減速材に対してはUNCLEコードを作成整備してきた。これらを用いて主に原子炉減速材物質の散乱法則,散乱断面積を理論あるいは実験的に求められた拡張された意味の振動数分布を用いて計算し実験との比較検討をおこなっている。
シグマ研究専門委員会
JAERI 1086, 115 Pages, 1965/10
熱中性子炉の解析において熱中性子スペクトルの正確な評価の重要性がますにつれて、熱中性子非弾性散乱の精密な実験がおこなわれてきており、これを裏づける散乱核の理論が必要とされ、展開してきている。熱中性子の散乱の理論は、VHの理論に集約されるが実際の散乱対の状態に対する解析方法は種々である、ここでは原子炉の減速材や反射体に用いられる液体、固体、有機材、水素化合物によつ熱中性子散乱の理論のおよび実験結果を収録してある。これらの作業はシグマ委員会熱中性子グループが昭和38,39年度、散乱核の計算コードの整備作成の作業と並行しておこなわれた研究の一部である。
多田 健一; 長家 康展
no journal, ,
核データの供給から炉心計算までを全て国産コードで取り扱うシステムを整備することを目的として、原子力機構では平成25年度より、核データ処理システムFRENDY(FRom Evaluated Nuclear Data librarY to any application)の開発を進めている。本発表では、平成26年度の進捗内容として、熱中性子散乱断面積の処理について報告する。JENDL-4.0でS(,)が含まれる全物質に対し、FRENDYとNJOYでポイントワイズの熱中性子散乱断面積を作成し、比較した。その結果、FRENDYの熱中性子散乱断面積の処理が妥当であることを確認した。
多田 健一
no journal, ,
核データから炉心計算までの全てを国産コードで取り扱うシステムを整備することを目的として、原子力機構では2013年度より、核データ処理システムFRENDY(FRom Evaluated Nuclear Data librarY to any application)の開発を進めている。本発表では、FRENDYの概要及び処理結果の妥当性検証について報告する。
多田 健一
no journal, ,
本発表では、熱中性子散乱データを処理する際の参考になることを目的とし、評価済み核データの概要と、評価済み核データから断面積ライブラリ作成までの核データ処理の流れとその手法を解説する。また、評価済みデータではなく、熱中性子散乱の実験データや解析結果から断面積ライブラリを作成する際に必要なデータや処理の流れについても併せて解説する。
長家 康展
no journal, ,
臨界リスク基礎データベースの作成に資するため、燃料デブリ体系を取り扱うことができる新規モンテカルロ計算ソルバーSolomonを開発している。熱炉体系へ適用範囲を拡張するため、熱中性子散乱モデルをSolomonに実装し、簡単な体系に対する実効増倍率をモンテカルロコード間で比較することにより実装を検証した。
多田 健一; 池原 正; 小野 道隆*; 東條 匡志*
no journal, ,
熱中性子散乱則の処理に注目し、FRENDYとNJOYの処理手法の違いについて調査し、NJOYに以下の問題点があることを特定した。(1)入力作成において高い専門性が必要で、公式なACEファイルでも適切に処理されていない場合がある、(2)作成されたACEファイルにはTHERMRで生成された全データが含まれている訳ではなく、入力した上限のエネルギー点未満のデータしか含まれない、(3)MCNP6.1では、iwt=2(ACERでの二次エネルギー分布に関するオプション)を用いて処理したACEファイルを用いると、計算が途中終了してしまう場合がある本発表ではこれらの問題点の概要とその解決策について説明する。
市原 晃; 安部 豊*
no journal, ,
原子炉の減速材として、軽水及び重水が使用されている。これらに対する熱中性子散乱の信頼できるデータは、炉心解析にとって重要である。本研究では、軽水及び重水中で散乱される中性子の角度分布とエネルギースペクトルを、分子動力学シミュレーションから得られる情報を利用して理論計算することを試みた。軽水及び重水に対して分子動力学シミュレーションを実施し、統計力学の揺動散逸定理に基づき、シミュレーションで得た水素,重水素及び酸素原子のトラジェクトリーデータを使って、散乱データを計算した。計算において、軽水では非コヒーレント散乱、重水ではコヒーレント散乱と非コヒーレント散乱の両者の寄与を考慮した。
多田 健一
no journal, ,
原子力機構が開発している核データ処理コードFRENDYとLANLが開発しているNJOYの処理結果の比較から、NJOYの処理上の問題点を多数明らかにしてきた。本発表では、熱中性子散乱則の処理におけるNJOYの問題点について説明した。また、本発表では、FRENDYで誰もが簡単に適切な処理を実施するために新たに実装した入力値の検証機能や、最近の活動紹介として、多群断面積処理機能の実装などについても説明する。
中山 梓介; 岩本 修
no journal, ,
溶融塩炉や小型モジュール炉(SMR)では減速材として黒鉛やCaHの使用が検討されている。減速材の熱中性子散乱則は炉心設計に大きな影響を及ぼす。また、溶融塩中のK-39やSMRのヒートパイプ中のCu-63に対する(n,p), (n,a)といった荷電粒子放出反応は廃棄物管理上問題となる核種を生成し得る。そのため、これら革新炉の炉心設計をする上では、黒鉛やCaHの熱中性子散乱則ならびにK-39やCu-63の荷電粒子放出反応断面積に関する精度良いデータが重要になる。以上を踏まえ、これらのデータの評価手法の検討を進めているところである。本発表では、現在までの進捗状況について述べる。
多田 健一; 渡邉 友章; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
no journal, ,
様々な減速材温度におけるJENDL-5と他のライブラリのH in HOの熱中性子散乱則の影響の比較のため、PWRの単ピンセル体系を対象に、様々な減速材温度での評価済み核データライブラリ毎の無限増倍率を比較した。その結果、減速材温度によって従来の評価済み核データライブラリであるJENDL-4.0やENDF/B-VII.1とJENDL-5との差異が減速材温度によって異なることが分かった。この差異は減速材温度係数に影響を与える可能性がある。しかし、高温のH in HOの断面積や角度分布・二次エネルギー分布を対象とした実験データはほとんどないため、ライブラリの良し悪しを判断することは困難である。H in HOの熱中性子散乱則データの精度向上のためには、高温での実験データの取得が望まれる。
権 セロム*; 今野 力; 太田 雅之*; 佐藤 聡*
no journal, ,
ヨーロッパ核破砕中性子源ESSグループが整備した結晶粒径を考慮したBeの熱中性子散乱則データを用いてJAEA/FNSのBeベンチマーク実験及び核融合中性子源A-FNSの試験モジュールの核解析を行った。Beベンチマーク実験では、これまで低エネルギー中性子に感度を有する反応の反応率の計算値が実験値を大幅に過大評価していたが、Beの結晶粒径が大きくなるにつれて過大評価が減少することがわかった。A-FNS試験モジュールでは0.1eV以下の中性子束に影響が見られたが、A-FNSのように熱中性子束が小さい中性子場では、トリチウム生成率等への影響は小さいことがわかった。
中山 梓介; 岩本 修
no journal, ,
溶融塩炉や小型モジュール炉では減速材として黒鉛や水素化合物の使用が検討されている。減速材による熱中性子の散乱は炉心設計に大きな影響を及ぼす。また、溶融塩や構造材に含まれる物質に対する荷電粒子放出反応は、廃棄物管理上問題となる核種を生成し得る。そのため、こうした革新型原子炉開発においては、上述の物質に対する精度良い熱中性子散乱則や荷電粒子放出反応断面積のデータが重要になる。以上を踏まえ、原子力システム研究開発事業の「革新型原子炉開発のための核データ整備基盤の構築」プロジェクトにおいて、これらの核データを評価し、評価済み核データファイルとして整備した。これらの核データの評価手法について、概要を述べる。